【学生必見】IT業界とは?将来性や主な職種、向いている人の特徴を解説
- 公開日
- 2025/10/31
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ITにまつわる職種といえばエンジニアが代表的ですが、他にも多種多様な職種があります。自身にマッチする職種を見つけられれば、実際に社会人になっても仕事の満足度を高め、社会で活躍できる可能性があります。
ただし、IT業界には他の業界と同じように向き・不向きがあります。この記事では、IT業界の将来性やIT業界の代表的な業界職種、IT業界に向いている人の特徴、学生のうちから取り組むべき準備についてご紹介します。
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目次
1.IT業界とは?
ITとはInformation Technologyの略で、「情報技術」を意味します。日々活用しているパソコンやスマートフォン、学校や職場に設置されたサーバー、インターネットの活用に欠かせないデータ通信、Webサービスなどが、ITにおける代表的なツールや技術です。
ITをサービスとして提供する業界は、IT業界と呼ばれます。厚生労働省では、IT業界を以下のように定義しています。
生活やビジネスのさまざまな場面において、デジタル技術を活用したサービスや仕組みを作っているのがIT業界です。現代生活に欠かせないパソコンやスマートフォンなど身近なものから企業で使われる大規模なシステムまで幅広い範囲をカバーしています。
2. IT業界の将来性や動向
IT業界は成長が著しい業界です。実際、情報通信産業の名目GDPや世界のICT市場規模は右肩上がりで、求人も活発におこなわれています。
このように書くと「IT業界の未来は明るい」と思えますが、ひと口にITといっても成長が期待される分野とそうでない分野があります。今後需要が高まると考えられるのは、AIやビッグデータ、IoT、クラウド、DXなどで、これらの分野に強い企業は今後さらに注目されやすいでしょう。
実際、こうした分野では技術者が不足しているため、就職のチャンスも少なくありません。総務省の「令和4年版 情報通信白書」によると、「AI・データ解析の専門家」が不足していると回答した企業が全体の65.8%、「CIO※1やCDO※2等のデジタル化の主導者」が不足していると回答した企業は全体の58.2%におよびます。
一方で大型コンピュータを使う汎用機(メインフレーム)、自社でサーバーやソフトウェアを保有するオンプレミスは、今後縮小が見込まれます。その理由には、汎用機は保守サービスの終了や需要の減少、オンプレミスは初期コストが高く迅速な導入が難しいため時代のニーズに合わないと懸念されている点が挙げられます。
出展: 総務省「令和7年版情報通信白書」 総務省「令和4年版情報通信白書」 経済産業省「デジタル人材の育成」
※1 CIOとはChief Information Officerの略で、日本語では「最高情報責任者」を指す。
※2 CDOとはChief Digital Officerの略で、日本語では「最高デジタル責任者」を指す。
3. IT業界の種類
IT業界は大きく5つに分けられます。特徴や業界の魅力を確認していきましょう。
3.1. ソフトウェア業界
ソフトウェア業界では、企業や一般家庭のパソコンで利用するソフトウェアを開発しています。パッケージソフトウェア(WordやExcelなど)はその代表的な製品です。加えて、工場などで活用される組み込みソフトウェアの開発も担います。
企業向けのソフトウェアでは、個々のニーズにあわせて製造するスクラッチ型の開発がよくおこなわれます。スクラッチ型の案件では、業務を深く学べること、大規模システムに関われることが大きなやりがいとなります。
3.2. ハードウェア業界
ハードウェア業界もIT業界を構成する代表的な存在です。パソコンやサーバー、プリンタなどの周辺機器、ルーターなどのネットワーク機器に加え、今注目されているストレージの製造もこの業界の領域です。データセンターに納入する機器もハードウェア業界の企業が製造します。
自ら設計・製造した製品が目に見える形で提供されること、そしてその製品が社会で使われることが、ハードウェア業界で働くことの魅力です。就職先や勤め先として他の人に説明するときに「○○の製品を作っている会社」と説明しやすいこともメリットに挙げられます。
3.3. インターネット・Web業界
インターネット・Web業界は、Webにアクセスして利用するサービスを提供する業界です。以下のような多種多様なサービスが該当します。
- クラウドサービスの基盤やSaaS
- Webサイト制作・運用
- ECサイトの制作・運用
- SNSサービスの開発・運用
インターネットには国境がなく、世界を舞台にビジネスを展開できる可能性があります。一方、変化の早い業界であるため、常に学びを進めながら短期間で案件に対応することが求められます。
在宅ワークやノマドワーカーなど自由な働き方を選びやすい点も、この業界の魅力の一つに挙げられます。
3.4. 通信インフラ業界
インターネットが普及した現代では、安定した通信状態の確保が欠かせません。通信インフラ業界の企業は、その通信基盤を整え利用者に提供します。代表的な業態は以下のとおりです。
- 携帯電話回線やWiMAXなど、無線通信の基盤を提供する企業
- MVNO(無線通信の設備を持つ会社からネットワークを借り、携帯電話サービスを提供する企業)
- 光回線など有線での通信基盤を提供する企業
- ケーブルテレビの運営会社(ケーブルテレビの回線経由で、インターネットに接続可能)
このように通信インフラは、企業や市民が生活を送るために重要な役割を果たしています。社会を支える仕事であることが通信インフラ業界の大きな魅力です。
3.5. 情報処理(SIer・SES)業界
IT業界には、ここまで解説した項目以外に、以下に該当する企業もあります。
- SIer(システムインテグレーター)
- SES(システムエンジニアリングサービス)
SIerは、システムに関わる業務を一括して請け負う企業です。システムをトータルで提案できる、大規模なシステム案件に携われるといった魅力があります。システム開発の上流に位置するため、クライアントとの折衝力やプロジェクトマネジメント能力、提案能力が重視されます。場合によっては、自ら開発に携わらないケースもあります。
SESは、他のIT企業に従業員を常駐させ、開発や保守、運用などの業務サポートを提供するサービスを指します。一つのプロジェクトに長く携わることは少ないですが、さまざまなプロジェクトに携わり多種多様な経験を積めることが魅力に挙げられます。
4.知っておこう!IT業界でよく登場する用語
IT業界では近年よく聞かれる用語がいくつかありますが、その用語の意味まで詳しく理解できていますか?ここではその代表的な用語をご紹介します。
4.1. AI(人工知能)
AI(人工知能)とは、人間の知能や思考を模倣するシステムの総称です。自ら学び状況に応じたアウトプットを出せる特徴を持っており、学習のステップで知識を収集し、システムの内部で学習済みのモデルを作り、適切なアウトプットを提示します。
生成AIはAIの代表的なシステムですが、AIはそれ以外にも、自動車や工場など、さまざまな場面で活用されています。現代社会を生きるうえで欠かせない技術です。
AIに関する仕事の一つであるAIエンジニアの仕事については、以下の講座でご紹介しています。
4.2. IoT
IoTは、日本語では「モノのインターネット」と呼ばれます。家電や業務用機器にWi-FiやBluetoothを設置することで可能となった技術です。
IoTは以下のようなシーンで使われます。
- 家電や機器に設置したセンサーを使って状態を迅速に知る
- カメラを活用して離れた場所の状況を知る
- 家電や機器を遠隔操作する
- 機器の稼動状況などの情報を蓄積して問題の早期発見や新機能の開発に活かす
組み込み機器の開発に携わりたい人には必須の技術といえるでしょう。
4.3. クラウド技術
データやアプリケーションをネットワーク経由で活用する「クラウド」も、今やIT業界では必須の技術です。以下はその一例となります。
- クラウド上にシステムを構築しサービスを提供する
- SaaSと連携するシステムを構築する
- 定期的にクラウド上のストレージへバックアップを保存する
IT機器を自社で保有せずにシステムを構築・利用できる点は、クラウド活用の代表的なメリットといえるでしょう。
4.4. DX
DXとは、デジタル技術を用いて事業を変革し、新しい価値を創出して企業の優位性を確立する取り組みです。業務効率化や業務改善と異なり、既存の業務プロセスを作り直すことも含まれます。そのため、DXのプロジェクトに関わる場合は、要件定義など上流工程から携われるケースも多いでしょう。
DXは多くの企業が注目するキーワードです。My CareerStudyでは、DXを学べる講座として以下の3つをご用意しています。
5.IT業界の主な職種と特徴
引用: 厚生労働省「職業情報提供サイト job tag IT・通信の仕事」
IT業界の職種は多種多様です。代表的な職種を以下の表にまとめました。
| 職種名 | 仕事内容 |
|---|---|
| プロジェクトマネージャー(PM) | プロジェクトチームの責任者。プロジェクト全体の作業計画を作成し、進捗や人員、予算などを管理する。 |
| システムエンジニア(SE) | ソフトウェア開発における中心メンバー。要件定義から設計、コーディング、テストまで開発における一通りの工程を担当する。顧客とのヒアリングや折衝もおこなう。 |
| プログラマー | SEが作成した詳細設計書に基づきコーディングをおこなう。単体テストのほか、SEと協力して結合テストや総合テストに携わる場合もある。 |
| Webエンジニア | Webサイトやモバイルサイトの設計・開発、運用・保守に携わる。ユーザーから見える部分を開発するフロントエンドエンジニアと、内部処理やインフラ、保守・運用に携わるバックエンドエンジニアに分かれる。 |
| Webデザイナー | Webサイトの企画やデザインをおこなう。画面のレイアウトや画像の作成もおこなう。 |
| ITコンサルタント | 顧客の経営戦略やIT戦略、IT投資に対して提案や助言をおこない、解決方法を提言する。開発には直接携わらない場合が多い。 |
| ディレクター | プロジェクトの進行管理をおこなう。クライアントや社内、協力会社との交渉やスケジュール調整もおこなう。 |
| データサイエンティスト | 大量に蓄積されたビッグデータを分析する。データ処理の枠組みを検討するモデリングにも関わる。 |
| セキュリティエンジニア | 情報セキュリティに配慮したシステム設計・構築をおこなう。ウイルス感染や侵入などのインシデントが発生した際の対応もおこなう。 |
| 社内SE | 社内システム全般を扱う。運用や保守だけでなく、システムの企画や導入、予算管理、ベンダーや保守業者との打ち合わせもおこなう。 |
| CADオペレーター | 建築や土木、機械の設計に用いられるソフトウェアであるCADを活用して設計図の作成などをおこなう。 |
ここまでご紹介したとおり、IT業界は業界・職種が幅広く、キャリアの選択肢も多岐にわたります。その一方、業界全体で人材不足の状態にあるため、理系文系問わず挑戦しやすい業界です。
文系・理系それぞれにおすすめの仕事については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
また、My CareerStudyではIT業界の仕事に関する講座をご用意しています。あわせてご覧ください。
6.IT業界に向いている人の特徴
ここからは、IT業界に向いている人の4つの特徴をご紹介します。IT業界で活躍したい場合は専門技術ももちろん重要ですが、技術以外のスキルも大切です。ぜひ、自分のスキルや強み・弱みと照らし合わせてみてください。
6.1. 新しい技術を学び続けることが好きな人
IT技術は日進月歩です。次々と生まれる新しい技術や知識に対して常にアンテナを張り、自らのスキルや知識をアップデートする姿勢が求められます。そのため、新しい技術を学び続けることが好きな人に向いている業界といえます。
6.2. 情報を収集・活用する力がある人
情報を収集して活用する力は、IT業界で活躍するための基本的なスキルの一つです。日々の仕事では、インターネットやAIを用いて情報を入手するケースが多くあります。特に、最新の情報は、そのほとんどがWeb上で発信されています。
そのため、必要な情報を素早く見つけ、正しく取捨選択できるかどうかが仕事の成果を大きく左右します。
一方、インターネットには真偽が不明な情報も多数発信されています。公表される情報やデータを鵜呑みにすることなく、真偽を判別し正しく解釈するスキルも求められます。
My CareerStudyでは、情報収集についての講座をご用意しています。
6.3. チームでの円滑なコミュニケーションがとれる人
多くのプロジェクトは、複数人で役割分担しながら進めます。特にIT業界ではその傾向が強く、プロジェクトの一員として業務にあたる際には、以下のようなスキルが求められます。
- 依頼や指示内容を正しく理解する
- 自分が作業した仕事の内容、自分の意思、共有したい情報を相手に正しく伝える
- 報告や相談、質問を適切なタイミングでおこなう
- 相手の理解度やレベルに応じて伝え方を工夫する
ITスキルの高さは重要ですが、コミュニケーションが取れないと他のメンバーとうまく連携できず、トラブルを引き起こしてしまうかもしれません。
相手とのコミュニケーションに不安があるという人は、以下のMy CareerStudyの講座でコミュニケーションスキルを向上していきましょう。
6.4. 論理的思考力がある人
IT業界で活躍するためには論理的思考力も必要となります。
例えば、システムの設計では、業務の流れをシステム化することや、業務の流れをシステムに適合させることが目的となります。業務を分析して業務フローを作り、条件に応じて適切な処理をおこなわなければなりません。業務を遂行するうえで考えられるケースを漏れなくピックアップし、矛盾する処理をおこなわないためにも、論理的思考力が必要です。
またコーディングでは、プログラミング言語や開発ツールを用いて論理的なルールに従い作業を進める能力が求められます。if文などの条件分岐を用いて異なる処理をおこなう条件の設定や、境界値の設定における「以下」と「未満」の使い分け、例外処理の設定などはその一例です。
論理的思考力をアップする方法は、以下の記事や講座で詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
6.5. 課題の発見や解決が得意な人
企業においてITは、業務における多様な課題を解決する目的で使われます。
ITに関する知識をあまり持たない人の立場にも立ちながら、その人たちが持つ課題をITの力で解決できる、いわゆる「ブリッジ人材」と呼ばれるようなタイプの人は、IT業界において重宝されるでしょう。前述のとおり、デジタル技術を活用して業務を改革するDXも、ブリッジ人材がいることで実現の可能性が高まります。
着眼点や課題を見つける能力を身に付けたい人は、ぜひ以下の講座もご覧ください。
7.まずはここから!IT業界を目指す学生が取り組むべきこと
IT業界を目指すなら、ぜひ学生の時代から取り組んでおきたい4つのポイントがあります。納得いくキャリアを実現するためにもぜひチェックしてください。
7.1. デジタル社会について基礎理解を深めておく
IT業界を目指すなら、まずはデジタル社会の基礎理解を深めておきましょう。
「便利な社会になることがデジタル社会」といった理解では不十分です。デジタル社会の構造やデジタル社会がもたらす変化、情報がどのように流通し処理・活用されているか、という流れまで理解することが重要です。
また、この過程では、AI、IoT、DXなど話題となっているIT用語についても理解を深める必要があります。
デジタル社会について、理解を深めたい人は以下の講座も参考にしてみてください。
7.2. さまざまなキャリア形成を意識する
IT業界にはさまざまなキャリアパスがありますが、就職した段階で将来のキャリアが決まるわけではありません。変化の激しい業界のため、社会の変化に応じたキャリアチェンジはよくおこなわれます。そのため、さまざまなキャリア形成を意識しておくことが求められます。
キャリアを形成する際には、自分ができること、興味を持っていること、これから伸ばしていきたい項目を考えることが重要です。やりたいことに挑戦することで、具体的なキャリアの方向性が見える場合もあります。
キャリア形成の考え方や自分の向き不向きを知る「自己分析」について知りたい人は、My CareerStudyの講座もぜひチェックしてみてください。
7.3. 情報・デジタルリテラシーを身に付ける
企業では、機密情報や個人情報など、外部に漏れてはならない情報を多数扱います。そのため、IT業界で活躍するためには、適切かつ安全に情報を扱うスキルが欠かせません。暗号化や二段階認証といった技術的な分野に加えて、著作権や知的財産権といった法に関する理解も求められます。
加えて、情報を正しく理解し適切に発信するスキルも重要です。情報の真偽を理解するスキル、相手を不快にさせずに意図をしっかり伝える表現の工夫は、その代表例です。
情報・デジタルリテラシーについてより詳しく知りたい人は、以下の講座も受講してみましょう。
7.4. さまざまなツールに触れてみる
今は、インターネットにアクセスさえできれば、デジタルツールの多くが利用できる時代です。例えば、生成AIのChatGPTやソフトウェア開発プラットフォームのGitHub、Web会議システムのZoom、ビジネスコミュニケーションツールのSlackなどは、その代表例に挙げられます。
早い段階でこれらの使い方に慣れておけば、そのツールの仕組みを自分なりに紐解くことでITの知識を深められますし、働き始めてからもスムーズにコミュニケーションが取れるでしょう。
ChatGPTの使い方やデジタルツールの活用術については、以下の記事や講座でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
8.まとめ
IT業界の職種は多種多様ですが、どの職種においても主体性が求められる業界です。教えてもらおうという姿勢ではなく、率先して学び業務に活かす姿勢が必要です。
新しい技術や取り組みに関心がある人や、その技術を積極的に学ぶ意識がある人、コミュニケーションを取ることが好きな人は、ぜひIT業界にチャレンジしてみましょう。
なかには「自分にはIT業界は向いていないかも……」と感じる学生もいるかもしれません。
しかし、ちょっと行動してみることで、自分の知らない興味関心や強み・弱みに気づくことがあります。例えば、実際に業界で活躍する社会人の話を聞いたり、最新の技術や業界のことを調べたりするうちに、「これならチャレンジしてみたい」と思える分野や興味の持てる仕事が見つかるかもしれません。
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執筆:My CareerStudy編集部
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