大学のGPAとは?平均値や学生生活・就活への影響、低い場合の対策を解説

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公開日
2025/10/06

この記事は7分で読めます

大学のGPAとは?平均値や学生生活・就活への影響、低い場合の対策を解説

GPAは、大学の成績を評価する指標の一つです。コースやゼミ、研究室の配属や卒業判定など、幅広い目的で使われます。この記事では、GPAの定義や平均値、計算方法、活用されるケースや就職活動との関係について解説します。

大学生活を送っていると、しばしばGPAという文字を目にします。成績に関する数値であり、なんとなく重要そうだと認識する人は多いでしょう。しかし、GPAについてしっかり理解できていない人もいるのではないでしょうか。
GPAはスムーズに進級や卒業をするうえで重要な数値です。学生生活を送るうえでは、奨学金や授業料の減免・免除の審査に使われることもあります。また、一部の企業では新卒採用で評価基準の一つとしているところもあります。

この記事では、GPAの概要や平均値、学生生活への影響などについて解説します。

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1.GPAとは?

GPAとは?

GPA(Grade Point Average)は学生の成績を評価する指標の一つで、履修した科目の成績をGP(Grade Point)と呼ばれる数値に置き換え、全体の平均を算出したものです。

GPAは世界的に使われる評価方法で、日本でも多くの大学で取り入れられています。文部科学省が2021年10月4日に公表した「令和4年度の大学における教育内容等の改革状況について(概要)」によると、2022年度の時点で746もの大学がGPAの制度を導入しています。

GPAは、自身の学習成果を確認する目安になるだけでなく、さまざまな手続きの評価材料として使われる指標です。

2.成績からGPAを求める方法

成績からGPAを求める方法

GPAの算出は、次のステップで行います。

  • 科目ごとの評価をGP(Grade Point)に置き換える
  • 2履修した科目の単位数を合計する
  • 3「GP×単位」の合計を総単位数で割る(= GPA)

成績評価には、「秀・優・良・可・不可」や「S・A・B・C・F」など、漢字やアルファベットを用いる大学も少なくありません。成績評価のGPへの換算は大学により異なりますが、以下のようなケースが多く見られます。

                           
成績評価 GP換算 評点
秀(S) 4 90点~100点
優(A) 3 80点~89点
良(B) 2 70点~79点
可(C) 1 60点~69点
不可(F) 0 59点以下

GPAの計算は、以下の数式を用いておこないます。

GPA=各履修科目の単位数×GPの合計/総履修登録単位数(「不可(F)」の単位数を含む)

一例として、以下の授業を履修し単位を取得したケースを考えてみましょう。

履修科目 単位数 成績 GP換算
英会話Ⅰ 2 B(2) 2×2=4
哲学Ⅰ 4 S(4) 4×4=16
統計学Ⅰ 4 A(3) 4×3=12
法学Ⅰ 4 C(1) 4×1=4
体育実技(テニス) 2 A(3) 2×3=6

上記の値を計算式にあてはめると、分子となるGPの合計値(「GP×単位数」の合計値)は42、総履修登録単位数は16となります。したがって、GPAは42÷16=2.62と算出できます。

3.GPAの一般的な平均値

GPAの一般的な平均値

GPAの平均値は、2.4~2.8程度といわれています。この値は、一般的には「優」から「良」にあたる水準です。GPAが3.0以上ある学生は、ほとんどの科目について「秀」または「優」の評価を得ており、優秀な学生と評価されるケースが多いでしょう。

一例として、「GPAの総合評価表」を以下に示します。

GPA 評価
3.50~4.00 大変優秀な成績
3.00~3.49 優秀な成績
2.00~2.99 平均的な成績
1.00~1.99 努力が必要な成績
0.00~0.99 より一層の努力が必要な成績

平均的なGPAの値は大学や学部によっても異なります。理系の学部は試験が難しく平均が低めになる傾向がありますが、文系の学部は比較的高めに出る傾向があります。

4.GPAは就職活動で重視されないって本当?

GPAは就職活動で重視されないって本当?

就職活動や将来のことを考えている人の中には、「就職活動では応募先の企業からGPAの提出を求められるの?重視されるの?」と気になっている人もいるでしょう。

多くの場合、GPAの提出を求められても参考程度として扱われるケースが多いです。実際、マイナビが2025年1月~2月に実施した「2026年卒 企業新卒採用予定調査」によると、「学業成績をあまり考慮しない」の割合が最も高く、「学業成績を重視する」と回答した割合は1.7%という結果になりました。

学生の学業成績を重視するか 割合
重視する 1.7%
ある程度考慮する 39.9%
あまり考慮しない 46.3%
まったく考慮しない 12.0%

出典: マイナビ「マイナビ 2026年卒 企業新卒採用予定調査」

では、GPAはなぜ就職活動で重視されにくいのでしょうか。ここでは、考えられる3つの観点からその理由を確認していきましょう。

4.1 大学や学部ごとに評価基準が異なるため

GPAは、大学や学部ごとに成績のつけ方が異なります。大学や学部ごとに母集団や単位のとりやすさが異なることも考慮しなければなりません。GPAが同じ2.5であったとしても、世間一般で評価の高い大学に通う学生とそうでない大学の学生を同一に扱うのは難しいでしょう。
このことから、企業はGPAだけを用いて学生を評価することは困難と考えています。

4.2 人柄や社風との相性が重視されやすいため

企業で活躍するうえでは、勉強できることだけでなく、意欲や熱意、人柄、社風との相性も、重要な項目です。そのため多くの企業では、学業成績よりも志望動機や社風との相性、熱意や人柄などを重視する傾向があります。

先にご紹介したマイナビの調査で「面接時に特に注視するところ」を聞いたところ、「明るさ・笑顔・人当たりの良さ」「入社したいという熱意」「素直さや伸びしろ等の成長可能性」が上位に並びました。一方、知識や頭の良さを挙げる企業は少数にとどまっています。

面接時に特に注視するところ(上位5項目+α) 割合
明るさ・笑顔・人当たりの良さ 62.8%
入社したいという熱意 45.7%
素直さや伸びしろ等の成長可能性 35.9%
職場の雰囲気に合うか 34.6%
まじめさ・誠実さ 30.3%
地頭の良さ 6.0%
技術的・専門的な知識 3.6%

出典: マイナビ「マイナビ 2026年卒 企業新卒採用予定調査」

4.3 採用選考のなかで学生の能力を見極めるため

多くの企業では、選考の過程で適性検査を実施して学力をチェックするフェーズを設けています。

学生の能力を見極める共通かつ客観的な指標があれば、わざわざ選考の評価にGPAを用いる必要性は低くなるでしょう。すでに実用化されている検査サービスを使えることも、就職活動においてGPAが重視されない理由の一つに挙げられます。

5.GPAが学生生活や就職活動で活用されるケース

GPAが学生生活や就職活動で活用されるケース

GPAは、学生生活や進路選択など、さまざまなシーンで活用されます。代表的な7つのケースを取り上げ、どのように用いられるかを確認していきましょう。

5.1 大学進級や卒業の判定

GPAは大学の進級や卒業の判定に使われる場合があります。例えば、卒業要件に「GPAが2.0以上」という項目を設けている大学もあります。また大学によっては、GPAが2.0以下の学生に対して学修指導や生活指導をおこなう場合があります。

もっとも、すべての大学でGPAが進級や卒業の要件に定められているわけではありません。年度始めなどの早い段階で大学のシラバスをチェックしておきましょう。

5.2 大学院の推薦入試

大学院の推薦入試を受験する場合は、志望する大学院によってGPAの数値が求められる場合があります。GPAは2.5~3.5以上を要件とする場合が多く、GPAに代えて以下の要件を課される場合もあります。

  • 「優」もしくはそれ以上の評価を取得した科目の単位が総取得単位の70%以上を占める
  • GPAあるいは席次が在籍大学の学科・学類で成績上位20%以内に入る

求められるGPAの数値は大学院によって異なります。早い段階で募集要項を確認しておきましょう。

進路に大学院を選ぶことによるメリットやデメリットについては以下の記事や講座でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

5.3 奨学金や授業料免除対象者の選定

GPAは、奨学金や授業料免除など、学生に対して金銭的な支援をおこなう目的でも用いられています。限られた資金を優秀な学生に支給しやすくなるため、能力があっても授業料を払えないことを理由に中退を余儀なくされる学生を減らすことが可能になります。「金銭的な余裕がない学生でも学びやすい大学」というイメージを得ることは、大学にとっても大きなメリットの一つです。

文部科学省は、2017年度(平成29年度)の委託調査「平成29年度文部科学省高等教育局委託事業『国内大学のGPAの算定及び活用に係る実態の把握に関する調査研究』報告書」で、438校(83.9%)の大学が、GPAを「奨学金や授業料免除対象者の選定基準として活用」していることを公表しています。

また、代表的な奨学金である「日本学生支援機構」では、返済の必要がない「給付型奨学金」を2年次以上で受給する要件の一つに、GPAが上位2分の1の範囲に属することを挙げています。

大学によっては、授業料免除や減免の選考にGPAを用いる場合もあります。「入学から出願時までのGPAが通算で1.5以上」「毎年度、前年度の年間GPAが3.5以上」などがその一例です。大学が設けている制度や通知を確認してみましょう。

奨学金については以下の記事や講座でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

5.4 ゼミや研究室の選択・海外留学への応募

大学や学部・学科によっては、入学して一定期間経過したのちにコースやゼミ、研究室の配属が決まるケースもよくあります。GPAはその選考に使われる場合もあり、人気の高いコースやゼミ、研究室にはGPAの高い学生が優先的に配属される傾向にあります。

また、GPAは留学の際にもしばしば重視されます。受け入れ先の大学が定めるGPAの数値に達しているかどうかは応募における前提条件であり、多くの大学では2.0以上のGPAを要求しています。また、学内選考が実施される場合、GPAが高い学生は選考において有利となります。

留学については、以下の記事や講座でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

5.5 大学推薦での就職活動

大学推薦を受けて就職活動をする人もいます。特に技術職や研究職など理系の就職で使われる方法で、応募には一定以上のGPAが求められる場合があります。

先ほどの文部科学省の調査によると、全体の37.3%の大学が、GPAを就職などの推薦基準として活用すると回答しています。

5.6 研究職や専門職の応募

研究職や専門職の就職では、大学で取り組んでいた研究を引き続き業務として取り組むケースが少なくありません。

その場合、学業の基礎力や専門知識の習得度を示す指標として、GPAは重視されやすい項目となります。GPAが高い学生は業務に必要な専門知識を理解していると評価されるためです。

5.7 外資や大手企業の採用選考

外資系企業では、採用選考に応募する条件として一定以上のGPAを設定している場合があります。また、一部の日系大企業でもGPAが重視される場合があります。

GPAが高い学生は仕事をこなす基礎的な能力が高いと評価されやすく、ポテンシャル採用の場面で有利になる可能性があります。

6.周りよりもGPAが低い…どうすればよい?

周りよりもGPAが低い…どうすればよい?

皆さんのなかには、「自分のGPAは他の人よりも低い…」「希望する進路選択を実現するためにはどうしたらよいだろうか」と悩みを持つ人もいるかもしれません。
GPAは重要な指標ですが、GPAがすべてではありません。学業以外の強みを活かして挽回できる方法はあります。ここからは、GPAの低さに悩む学生に向けて、その対策法を解説します。

6.1 ゼミや研究室を選択する場合

入りたいゼミや研究室は決まっているが、競争率が高く、GPAの面で自信を持てない。

こうしたゼミや研究室の選択に関する不安がある場合は、まずGPAが低くなった理由を分析しましょう。もし選択までに時間があるなら、苦手分野を見つけて成績向上につなげていきましょう。

また、選考でレポートや面接がある場合は、あなたの意欲を存分にアピールしましょう。どのような研究をおこないたいのかを具体的に示し、教員に「この学生はやりたいことが明確で意欲がある」と思わせることが重要です。

もしGPAの低さを問われた場合は、理由と今後の改善方針を明確に示すようにしましょう。

大学では、レポートやリアクションペーパーなど、成績につながる提出物が多数あります。レポートやリアクションペーパーの作成が苦手な人は、以下の記事や講座をぜひ参考にしてみてください。

また、希望するゼミや研究室に入るためには志望動機の書き方も重要です。以下の講座を受講し、自分に合ったゼミや研究室を選びましょう。

6.2 大学院の推薦入試を受ける場合

大学院の推薦入試はGPAだけが評価の対象ではありません。以下の項目も合否を決める鍵となります。

  • 研究計画書・研究概要書
  • 口述試験(面接)

研究計画書や口述試験で入学後のビジョンを提示し、研究への意欲を示しましょう。

研究概要書を書くコツは以下の講座で解説していますので、ぜひご覧ください。

また、大学院によっては、以下の試験を課す場合もあります。

  • 筆記試験(研究分野に関連する専門科目など)
  • 実技試験(音楽の教育に携わりたい学生が楽器の演奏を行うなど)

受験先によって試験内容や評価ポイントは異なりますが、試験対策を入念に進めることが大切です。

6.3 就職活動に臨む場合

前述のとおり、新卒の採用選考においてGPAを重視している企業は多くありません。入社への意欲や熱意、人柄の魅力を伝えられれば、学業の成績が良くない場合でも内定を獲得できるチャンスはあります。

多くの学生は、大学生活のなかで以下の活動に取り組んだ経験があるのではないでしょうか。

  • サークル活動・部活動
  • ボランティア活動や地域活動への参加
  • アルバイト
  • インターンシップ
  • 資格の取得

これらの活動での努力や取り組み、得た成果やスキルを整理し、具体的に語れるよう準備することも大切です。それにより、学業成績以外の魅力や能力を採用担当者にアピールできます。

大学生活で取り組んだ活動は、就職活動で企業に提出するエントリーシート(ES)でも重要な記入項目の一つとなっています。My CareerStudyでは、エントリーシートの書き方の講座をご用意しています。エントリーシートの書き方に不安のある人はぜひ受講してみましょう。

また、これまでの経験を整理する際は、My CareerStudyの「経験メモ」も併せて活用してみてください。

7.まとめ

GPAは学生生活や就職活動で重要な役割を果たします。GPAを上げると、希望するコースやゼミ、研究室に配属されやすくなるとともに、就職の選択肢も広がります。奨学金や授業料減免・免除といった金銭的な恩恵も受けやすくなるでしょう。

ただし、GPAだけですべてが決まるわけではありません。もしGPAが低い場合でも、他の強みをアピールすることでカバーできる可能性はあります。まずはご自身のGPAを把握し、希望を実現するための対策を立てましょう。

執筆:My CareerStudy編集部

執筆:My CareerStudy編集部

My CareerStudyは学生に向けた社会で役立つ知識やスキルを提供するキャリア学習サービスです。
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