タイムマネジメントとは？うまい人の特徴や実践方法、鍛え方をご紹介

1-1 タイムマネジメントとスケジュール管理の違い

タイムマネジメントと混同しがちなものに「スケジュール管理」がありますが、両者は大きく異なります。

前述したとおり、タイムマネジメントはスケジュールを守るための手段や工夫を指します。

一方、スケジュール管理は、個人や組織の予定を可視化し、その進捗や遅延などをチェックすることです。

スケジュール管理をおこなう目的には以下のようなものがあります。

• スケジュールのダブルブッキングを防ぐ
• 進捗状況をチェックし、遅れが発生している場合は早めに手を打つ
• 締切日や約束の日時を忘れるなど、うっかりミスを防ぐ

このようにスケジュール管理は、どのようにスケジュールを守るかという点にはフォーカスしていません。この点がタイムマネジメントとの大きな違いです。

2-1 タスクの優先順位を付けるのがうまい

学生であれば「いつも忙しいのにレポートの締切をしっかり守り、試験の準備も完璧」、社会人であれば「仕事が手際よく進んでいる」、このような人があなたの周りにもいませんか？もしかしたら、その人はタスクの優先順位を付けるのがうまいのかもしれません。

タスクの優先順位をうまく付けられる人は、あらかじめ取り組むことの内容を整理し、優先度や重要度にしたがって作業を進められます。また、緊急のタスクが入った場合もあたふたしにくいことも特徴の一つに挙げられます。

2-2 タスクに取り組む時間と休憩の使い分けがうまい

タイムマネジメントがうまい人は、作業に取り組む時間と休憩時間のメリハリを付けるのがうまいという特徴もあります。

特定の作業を長時間続けると集中力が切れ、効率が落ちやすくなります。適度に休憩してリフレッシュする時間を確保ができれば、限られた時間でも効率的に進めることができるようになります。

2-3 自分の能力や向き不向きを把握している

「自分の能力がどれだけあるか」「自分自身にはどのような作業が向いていてどのような作業が向いていないのか」など自分自身の能力を正しく把握していることも、タイムマネジメントがうまい人の特徴です。

例えば、大学の課題に取り組む際には、苦手な分野を先に始めたり、わからない点を詳しい人に教えてもらう時間をあらかじめ確保したりと計画的に行動しています。

仕事の場合も同様で、自分一人で抱え込むのではなく「その作業が得意な人に仕事を依頼する」「専門企業に業務を委託する」といった選択をすることで、時間を有効に使うことができます。

このように、タイムマネジメントがうまい人は自分の能力や向き不向きを踏まえたうえで、自身が取るべき行動を適切に選びます。その結果、作業効率が上がり、不慣れなことでも自分のペースで取り組みやすくなるのです。

自分自身を理解する方法については、以下の記事や講座でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

自己理解とは？深めるメリットや方法、学生にとっての重要性について解説

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2-4 計画的に物事を進めることができる

タイムマネジメントがうまい人は、それぞれのタスクに要する時間、またタスク同士の関連性を把握しています。「締切に間に合わせるためにはいつまでに作業を始めなければならないか」を理解している分、仕事や勉強を無理なく効率的に進められます。

この力は、グループで物事に取り組む場面でも発揮されます。

まずは、やるべきことの全体像と作業ボリュームの確認をおこない、作業を分担していきます。作業中は、周囲とこまめにコミュニケーションを取り、最新の進捗状況を把握しながら状況に応じて柔軟に対応します。

このように、計画的に段取りを組むことで、個人でもグループでも期限内でよりよい成果を出せるようになります。

計画力については、以下の記事や講座でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

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タイムマネジメントを身に付けるとさまざまなメリットが得られます。ここでは、代表的なメリットを6つ解説します。

3-1 物事に集中して取り組める

物事に集中して取り組めるようになることは、タイムマネジメントを身に付けることによる代表的なメリットの一つです。

例えば、資格の勉強では「毎日寝る前の30分間で問題演習に取り組む」と決めておけば、短時間でも着実に実力が身に付きます。

会社に提出する資料を作成する場合も同様に、「○時～○時はこの業務に集中する」とスケジュールを確保しておけば、他の業務に邪魔されることなく落ち着いて取り組むことができます。結果として短時間で高品質な資料を作成することが可能です。

タイムマネジメントがうまい人のなかには、短時間で集中的に作業するためにタスクを25分ごとに分割し、5分間の休憩を挟みながら次々とタスクをおこなう「ポモドーロ・テクニック」を活用している人もいます。

3-2 先延ばしを防ぐ

タイムマネジメントを身に付けると、タスクに取り組む際に重要な以下の項目を意識できます。

• 締切の日時（いつまでに終わらせるか）
• 着手しなければならない日時（締切に間に合わせるにはいつ始めるか）

上記の項目を意識すれば、「この日までに始めないと締切に間に合わない」と把握できるようになり、なんとなくタスクを先延ばししてしまうリスクを避けられます。その結果、「気がついたら締切が過ぎていた」といった事態も防ぎやすくなり、締切に追われることによるストレスを感じることも少なくなるでしょう。

3-3 他人との信頼関係を深めることにつながる

タイムマネジメントを身に付けると、自分や相手の時間の使い方に対する意識が変わり、日常の行動にもよい変化が表れます。

例えば、遅刻や欠席が減り、やむを得ない場合は事前に連絡を入れることが習慣になります。また、必要な手続きは期限内にきちんと済ませ、レポートや報告書といった提出物も求められる品質で期限内に提出できるようになるでしょう。

さらに、頼まれごとに応じられない場合も、早めに断ったり、他の人に依頼したりと相手に迷惑をかけないための配慮ができるようになります。

こうした行動の積み重ねは、学生・社会人を問わず、他人との信頼関係を築くうえで重要です。「時間にルーズではない」「責任感がある」「○○さんに任せれば安心」といった印象を与え、周囲からの信頼につながります。

特にグループワークなど複数の人と共同作業をおこなう場合、こうした信頼感は重要になります。社会人になると、複数のメンバーや会社が関わる事業やプロジェクトに参加するケースもあります。

自身が担当する業務の遅延が、全体の進行や信頼関係に影響を与えることもあるため、タイムマネジメントのスキルがさらに求められるでしょう。

3-4 ワークライフバランスが整う

タイムマネジメントは、学業や仕事とプライベートのワークライフバランスの実現にも役立ちます。

学生のなかには、以下のように多種多様なことに取り組んでいる人も多いのではないでしょうか。

• 授業への出席、および予習・復習
• ゼミや研究室での研究活動
• サークル活動
• ボランティア活動
• アルバイト
• 友人や家族との外出
• 家事

社会人は「家事」「友人や家族との外出」のほかに、仕事に関することが多くあるでしょう。

• 日々の事務作業や会議
• 取引先との打ち合わせや実作業
• 上司や先輩、同期社員との付き合い
• 出張

さらに、子どもがいる場合は子育て、高齢の父母がいる場合は介護に取り組んでいる人もいるかもしれません。

項目だけを見ると忙しく感じるかもしれませんが、活動ごとに時間を割り当てたり、時間内に終わらせる工夫をしたりすることで、さまざまなことを両立しやすくなります。学業や仕事とプライベートの切り替えが上手にでき、さまざまな活動に充実度高く参加できるようになるはずです。

3-5 無駄なコストや時間の削減につながる

無駄なコストや時間を削減できることも、タイムマネジメントのメリットに挙げられます。

例えば大学生の場合は、計画的にレポートや試験勉強を進めることで、レポートの再提出や追試を避けられます。

また、就職活動では企業への提出書類も余裕を持って準備できるようになるため、「提出が遅れます」といった連絡や大学や企業とのやり取りにかかる時間や労力を削減できるでしょう。

社会人の場合は、日々の業務を計画的に進めることで残業時間を減らせるようになります。これは、寝不足といった健康への影響を抑えると同時に、企業にとっては人件費の削減にもつながります。

さらに、仕事の締め切りをしっかり守ることで、遅延時に発生する上司や関係者への説明や謝罪といった対応も不要になります。

年末調整の書類提出や月々の勤務申請などの事務手続きも余裕を持って対応できるようになれば、再手続きといった余分な業務を回避することができるでしょう。

このように、日々の生活でタイムマネジメントを意識することで、余分な作業や連絡、コストが発生するのを防ぎやすくなります。

3-6 新しいことに挑戦しやすくなる

タイムマネジメントスキルを身に付けることにより、時間を効率的に使えるようになると、時間的にも精神的にも余裕が持てるようになります。

以下のような、これまでやりたくてもできなかった新しいことに挑戦する意欲もわいてくるでしょう。

• 興味関心のあるスキルを身に付ける
• 資格を取得する
• 新しい趣味を始める
• ボランティア活動に取り組む
• 人脈を広げる

新たなことに取り組むことで、自身の成長を実感する機会も増えます。学生の場合は、スキルアップを通して就職活動に向けたアピールポイントを見つけることにもつながります。社会人の場合は、自身の市場価値の向上につながるでしょう。

就職活動に向けて大学生のうちに取り組むべき活動やおすすめの資格については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

大学生のうちにやるべきことは？将来に活きる活動や過ごし方を紹介

大学生におすすめの資格15選！資格取得のメリットや就活・キャリアでの活かし方を解説

また、新しいことに挑戦したい場合はMy CareerStudyの講座でスキルやキャリアについて学ぶことも有効です。以下のリンクから探してみてください。

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①やるべきタスクを整理する

まずは、やるべきタスクを可視化しましょう。自分が抱えているタスクを一通り洗い出してみてください。

リストアップしたら、タスクを細分化しましょう。細分化する際は、一度始めたら中断せずに取り組める作業単位で考えるのが理想です。あまり細かくすると管理に時間が大変になるため、10分以内で済むタスクなどでまとめることもおすすめです。

タスクの一例を以下の表にまとめましたので、タスクを考える際の参考にしましょう。

②期日や必要な工数を確認する

タスクをリストアップしたら、タスクごとに「タスクの消化にかかる時間（工数）」と「タスクの締切日時」を確認しましょう。

なかには、工数を見積もるのが苦手な人や、そもそも初めてのタスクに取り組むという人もいるかもしれません。工数を見積もるのは数をこなすことで慣れていくものですので、まずは以下のフローを参考に取り組んでみましょう。

• 1実際に作業した場合に必要と思われる工数（○時間・○分など）を算出する
• 2関係者（メンバーや上司、先輩、取引先など）とのコミュニケーションにかかる工数を算出する
• 3内容のチェックなど、品質を保つために必要な工数を算出する
• 4上記1～3の工数を合計する

タスクごとにかかる時間や期日（提出日）がわかったら、表やカレンダーなどにまとめましょう。スケジュール管理ツールなどを活用すると取り組みやすくなるためおすすめです。

タスク管理のコツや方法については、以下の記事や講座でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

大学生・社会人必見！タスク管理がうまくなるコツは？おすすめツールもご紹介

「学生から社会人まで使える！タスク管理ツール活用術」講座はこちら

③優先度と重要度を考える

各タスクにかかる工数や期日を確認したら、次にそれぞれの優先度と重要度を考えます。

日々の学習や業務をスムーズに進めるためには、タスクを「重要度×緊急度のマトリクス」にあてはめることが重要です。

その際、重要度の高さを決める場合、学生の場合は「進級や卒業に関係するか」、社会人の場合は「仕事の成否に直結するか」を一つの判断基準にするとよいでしょう。

タスクを上の表にあてはめることにより、優先すべきタスクがわかります。第1領域や第2領域といった重要度の高いタスクを優先しましょう。

④タスクの処理方法を決める

タスクの項目や作業時間、重要度や優先度が判明したら、以下のようにタスクの処理方法を決めます。

• 自分でタスクを担当する
• 他の人にタスクの処理を任せる
• タスクをおこなわない

以下のいずれかに該当するタスクは、他の人に任せる方法も選択肢の一つです。

• 他のタスクよりも緊急度や重要度が低いタスク
• 専門性が高く適任者が他にいるタスク
• 自身の手が埋まっており他の人でも処理できるタスク

緊急度も重要度も低く、おこなわなくても特に支障がない場合は、上記3の「タスクをおこなわない」も選択肢に入ります。

⑤スケジュールを引いて取り組む

担当するタスクを選んだら、スケジュールを引いて取り組みましょう。

スケジュールを立てる際には、上記「③優先度と重要度を考える」で解説した第1領域および第2領域のタスクを優先して割り当てます。これにより、重要なタスクに対して重点的に時間を使うことができます。もし、自分以外にも関係者がいる場合はスケジュールを共有しておきましょう。

また、予期せぬトラブルや急用が入ることもあります。そのため、「バッファ」と呼ばれる予備の時間をあらかじめ設けて柔軟に対応できるようにしておくと安心です。

バッファをどの程度取るべきかはタスクの内容により異なります。最低でも期日の前日にはタスクが完了しているようなスケジュールを引くとよいでしょう。

⑥振り返りをおこなう

タスクの実施後は振り返りをおこない、想定どおりに進められたか、改善すべきことはあるかなどをチェックします。以下のポイントを押さえて振り返りをおこなうとよいでしょう。

• スケジュールどおりで進行したか
• 時間の不足や過剰なバッファはなかったか
• 成果の品質は適正か（レポートや作成した資料の質や評価）
• （複数人で取り組んだ場合）人員の数や担当者の割り当ては適正か
• 作業の進め方は適正か、よりよい進め方はないか

振り返りでは、「KPT法」と呼ばれるフレームワークを活用するのも有効です。具体的には、以下に挙げる3つの要素を順におこなうことで、課題の洗い出しや改善に向けたアクションを可視化していきます。

• Keep（良かった点や継続すべき取り組み）
• Problem（改善すべき項目や問題点）
• Try（課題を解決するためにおこなう項目）

KPT法を活用し、振り返りをより有意義なものにしましょう。

5-1 何事も目標を決めて取り組む

まずは、目標を決めて物事に取り組むことを意識しましょう。

例えば、「○日までに仕上げる」「毎日○ページ勉強する」などわかりやすい目標を立てます。目標が高すぎると現実との乖離が大きくなり、途中で挫折してしまうこともあるので、達成可能な目標を立ててモチベーションを保ちましょう。

目標を設定する際には、以下の法則や思考法を活用するとよいでしょう。

5-2 すきま時間を有効活用する

タイムマネジメントスキルを鍛えるうえでは、すきま時間を有効活用できないか意識することが大切です。

日々のタスクのなかには、数分や10分程度など短時間で終わるものも多数あります。

また、24時間を振り返るとそのような作業に使えるすきま時間もたくさん見つかるでしょう。

• 通学や実習先、アルバイト先などへの移動時間
• 授業と授業の間の時間
• 目的地に早く着いたときの待ち時間
• 飲食店などで注文から料理が届くまでの時間

上記のようなすきま時間をうまく活用することで、限られた時間でもタスクを効率よく消化できます。簡単な連絡の確認や返信、情報収集、月々の口座引き落とし情報のチェックなどの作業は、すき間時間で済ませましょう。

5-3 似ているタスクはまとめて取り組む

タスクのなかには、同じような情報を参照すればこなせる作業など、類似するものがあります。それらのタスクをまとめることで、迅速かつ正確に済ませることが可能になります。また、同じような作業の繰り返しによる精神的な疲れも軽減できるでしょう。

このように、「タスクの種類や特徴を把握したうえで取り組む」という工夫は、無駄な時間を減らすとともに作業全体の質とスピードの向上につながります。また、「どうすれば時間をうまく使えるか」という視点を持つことは、タイムマネジメントスキルを鍛えるうえでも効果的です。

5-4 タスクを簡単にできないかを考える

「タスクをもっと簡単にできないか」を考えることで、時間の使い方に対する意識が高まり、タイムマネジメントスキルを鍛えることにつながります。

例えば、5,000字のレポートを作成するとします。

この場合、いきなりレポートを書き始めるのではなく、「序章・本論・結論」の構成ごとにタスク分けすることで作業の見通しを立てやすくなります。また、情報収集を進める際は、生成AIを活用して手間や時間を短縮することも考えられます。

このように、タスクそのものを小さくしたり、作業をシンプルにできる方法がないかを考えてみたりすることで、心理的なハードルが下がります。その結果、集中して作業に取り組めるようになるでしょう。