1なぜ大学低学年から言葉遣いを意識する必要がある?
「言葉遣いは社会人になってから覚えればよい」と思う人もいるかもしれません。しかし、大学低学年のうちから意識することで、大学生活にも将来のキャリアにも大きなプラスがあります。
第一に、就職活動やインターンシップでの印象に直結する点です。企業の人事担当者は、話し方や受け答えから学生の社会性や丁寧さを見ています。面接やグループディスカッションで適切な言葉遣いができるだけでも、落ち着きや信頼感を伝えやすくなります。
第二に、アルバイトやゼミ活動など、日々の大学生活がよりスムーズになります。店長や教授、先輩に敬意を払った話し方ができれば、円滑な人間関係を築きやすくなり、より多くの学びや機会につながるでしょう。
第三に、言葉遣いを意識することは「相手への配慮」を身につけることでもあります。相手の立場や状況を考えて話す習慣がつくことで、傾聴力や共感力も自然と高まっていきます。
このように、早い段階で言葉遣いを学ぶことは、単なるマナーの習得にとどまりません。社会性を高め、自信を持って人と関わるための大切な準備になるのです。
2まずは敬語の基本をおさえよう!尊敬語・謙譲語・丁寧語の違い
敬語は大きく分けて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。違いを理解して使い分けることが、目上の人への適切な言葉遣いの第一歩です。
2-1相手を高める「尊敬語」
尊敬語は、相手や相手の行動を高めることで敬意を示す表現です。主語が相手側になるのが特徴で、目上の人の動作や状態について話すときに使います。
例えば「する」は「なさる」「される」、「言う」は「おっしゃる」、「見る」は「ご覧になる」と言い換えます。
例としては、「教授は論文を作成されました」「店長がおっしゃいました」「部長が資料をご覧になりました」などが挙げられます。また、「来る・行く・いる」は「いらっしゃる」、「食べる・飲む」は「召し上がる」と表現します。
2-2自分をへりくだる「謙譲語」
謙譲語は、自分や自分の行動をへりくだって表現することで、相手への敬意を示す言葉です。主語は自分側になります。
例えば「する」は「いたす」「させていただく」、「言う」は「申す」「申し上げる」、「見る」は「拝見する」となります。
「私が担当させていただきます」「〇〇と申します」「資料を拝見いたしました」といった形で使います。また、「来る・行く」は「参る」「伺う」、「与える」は「差し上げる」と言い換えることができます。
2-3会話全体を丁寧にする「丁寧語」
丁寧語は、「です」「ます」「ございます」などをつけて、言葉全体を丁寧にする表現です。相手や場面を問わず幅広く使え、尊敬語や謙譲語と組み合わせることで、より丁寧な印象を与えられます。
例えば、「だ」「である」は「です」「でございます」、「する」は「します」、「いる」は「います」と表現します。「これは私の意見です」「私が対応します」「ここにいます」などが基本的な使い方です。
3つの敬語の役割を意識して使い分けることで、目上の人とのやり取りは格段にスムーズになります。まずは「相手を高めるのか」「自分をへりくだるのか」「文全体を丁寧にするのか」を考える癖をつけてみましょう。
3これだけは避けたい!大学生が使いがちなNG言葉遣いと言い換え例
大学生が普段使いしやすい言い回しのなかには、目上の人に対しては不適切と受け取られるものがあります。ここでは、特に間違えやすい表現を確認していきましょう。
3-1「了解です」は失礼?→「承知いたしました」「かしこまりました」
「了解です」は、友人や同僚には自然でも、目上の人に対して使うと失礼にあたる場合があります。「了解」は、目上の人が目下の人に使うニュアンスを持つためです。
NG例は「先生、課題の提出期限、了解です。」です。目上の人には「先生、課題の提出期限、承知いたしました。」や「先生、課題の提出期限、かしこまりました。」と言い換えると、より丁寧な印象になります。
3-2「〜になります」の多用→「〜でございます」
「こちらが資料になります」「本日の担当は私になります」といった言い方はよく耳にしますが、本来「〜になる」は変化を表す言葉です。説明や紹介の場面で多用すると、不自然に感じられることがあります。
例えば、「本日の担当は私になります」は、「本日の担当は私でございます」または「本日の担当は私です」と言い換えるのが適切です。物がそのものであることを示す場面では、「です」「でございます」を意識しましょう。
3-3「参考になりました」は上から目線?→「大変勉強になりました」
相手の話を聞いたあとに「参考になりました」と言うことがありますが、「自分の判断材料にする」というニュアンスが含まれ、目上の人に対しては少し対等な印象を与える場合があります。
そのため、「部長のお話、参考になりました。」ではなく、「部長のお話、大変勉強になりました。」や「誠にありがとうございました。」と伝えるほうが、相手への敬意や感謝が伝わりやすくなります。
3-4「すみません」の便利な使い方と注意点→「恐れ入ります」「ありがとうございます」
「すみません」は、謝罪・感謝・呼びかけなど幅広く使える便利な言葉ですが、その分意味が曖昧になりやすい表現でもあります。目上の人に対しては、場面ごとに言葉を使い分けることが大切です。
謝罪であれば「資料を間違えて申し訳ございません」、感謝であれば「お手伝いいただき、ありがとうございます」、依頼や呼びかけなら「恐れ入りますが、少しお伺いしてもよろしいでしょうか」といった言い換えが適切です。
特に「恐れ入ります」は、依頼や質問の前に添えるクッション言葉として非常に使いやすく、相手への配慮を伝えやすい表現です。
3-5「ご苦労様です」と「お疲れ様です」の使い分け
どちらも相手をねぎらう言葉ですが、「ご苦労様です」は目上の人が目下の人に使う表現です。そのため、教授や先輩、上司に使うのは避けたほうがよいでしょう。
目上の人に対しては、「お疲れ様です」を使うのが一般的です。たとえば教授に声をかける場合は、「先生、ご苦労様です」ではなく「先生、お疲れ様です」と表現すると自然です。
4【シーン別】目上の人への言葉遣い実践フレーズ集
敬語の知識を覚えたら、次は実際の場面で使えるフレーズを身につけましょう。具体的なシーンをイメージして練習することで、自然に使いやすくなります。
4-1アルバイト・インターンシップ編
アルバイト先の店長や社員、インターンシップの担当者など、社会人と接する場面では、丁寧さと分かりやすさの両方が大切です。
勤務初日の挨拶では、「本日より勤務させていただきます〇〇です。未熟者ではございますが、精一杯務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。」と伝えると好印象です。
質問するときは、「店長、これどうやるんですか?」ではなく、「店長、大変恐縮ですが、こちらの作業についてご教示いただけますでしょうか。」と表現すると丁寧です。
急な休みを申し出る場合は、「体調悪いんで、今日休みます。」ではなく、「大変申し訳ございませんが、本日体調が優れないため、お休みをいただいてもよろしいでしょうか。」のように、事情とお詫びをセットで伝えましょう。
指示を受けたときは、「了解です!」ではなく、「承知いたしました。すぐに取り掛かります。」と返すと安心感を与えられます。
4-2大学の授業・ゼミ編
教授やTA、研究室の先輩など、大学内でも目上の人に接する場面は多くあります。くだけた話し方になりすぎないよう注意しましょう。
教授に声をかけるときは、「先生、ちょっといいですか?」ではなく、「〇〇先生、ただいまお時間よろしいでしょうか。」と切り出すと丁寧です。
課題提出が遅れる場合は、「課題間に合いませんでした。」ではなく、「大変申し訳ございませんが、課題の提出が遅れております。後ほど提出させていただきますので、ご容赦いただけますでしょうか。」と、謝罪と対応をあわせて伝えましょう。
質問をする際も、「この前言ってたこと、なんすか?」ではなく、「先日お話しいただきました〇〇の件について、改めてお伺いしてもよろしいでしょうか。」と表現することで、相手に不快感を与えにくくなります。
4-3サークル・部活動編
サークルや部活動では先輩と距離が近くなりがちですが、節度ある言葉遣いは信頼関係づくりに役立ちます。
依頼するときは、「これ手伝って」ではなく、「大変恐縮ですが、こちらの作業をお手伝いいただけますでしょうか。」とお願いすると丁寧です。
感謝を伝えるときは、「マジありがとうございます!」ではなく、「誠にありがとうございます。大変助かりました。」のように落ち着いて伝えましょう。
意見を述べるときも、「それは違うと思います。」と断定するのではなく、「恐れ入りますが、別の観点からも検討する余地があるかと存じます。」と柔らかく表現すると、関係を損ねにくくなります。
4-4メール・チャット編
文章でのやり取りは、対面よりも言葉遣いが目立ちます。特にメールは記録に残るため、件名・宛名・本文・締めの言葉まで丁寧に整えることが大切です。
件名は「〇〇の件に関するご相談(〇〇大学 氏名)」のように、用件が一目で分かる形にしましょう。宛名は会社名、部署名、役職名、氏名を正確に記載します。
本文では、「教えてください」「送ってください」といった直接的な表現よりも、「ご教示いただけますでしょうか」「お送りいただけますと幸いです」といった言い回しが適しています。
締めくくりには、「ご確認のほどよろしくお願いいたします」「お忙しいところ恐縮ですが、ご返信いただけますと幸いです」などを使うと、丁寧で読みやすい文章になります。
また、コミュニケーションスキルを高めたい人には、以下の講座もおすすめです。
5言葉遣いにプラスα!さらに好印象を与えるコミュニケーション術
目上の人へのコミュニケーションでは、敬語だけでなく、相手への気遣いや話し方全体の印象も大切です。ここでは、さらに好印象を与えるためのポイントを紹介します。
5-1会話を和らげる「クッション言葉」を活用しよう
クッション言葉とは、「恐れ入りますが」「お手数ですが」「差し支えなければ」など、本題の前に添える配慮の言葉です。依頼や質問、意見の提示をやわらかくし、相手に受け入れてもらいやすくなります。
例えば、依頼するなら「お忙しいところ恐縮ですが、資料をご確認いただけますでしょうか」、質問するなら「差し支えなければ、〇〇についてお聞かせいただけますでしょうか」、意見を述べるなら「大変申し上げにくいのですが、別の視点からも検討する余地があるかと存じます」といった表現が使えます。
5-2質問や依頼をするときの「相手への配慮」を忘れずに
質問や依頼をするときは、相手の時間や立場を意識することが重要です。「お時間のある時で構いませんので」「お忙しいところ恐縮ですが」と一言添えるだけでも印象は大きく変わります。
また、事前に自分で調べられることは調べておくことも大切です。質問の背景や、自分がどこまで確認したのかを伝えると、相手も答えやすくなります。
そして、対応してもらったあとは「ありがとうございます」「助かります」と感謝の言葉を必ず伝えましょう。こうした積み重ねが、信頼関係を築く土台になります。
5-3挨拶と感謝の言葉を習慣にする
どれだけ敬語を知っていても、基本的な挨拶や感謝ができていなければ、良い印象にはつながりません。「おはようございます」「こんにちは」「お疲れ様です」などは、明るくはっきりと伝えることを意識しましょう。
また、何かをしてもらったらすぐに「ありがとうございます」、ミスをしたらすぐに「申し訳ございません」と伝えることが大切です。言葉遣いは知識だけでなく、タイミングや態度も含めて相手に伝わるものです。
6失敗を恐れずに挑戦しよう!言葉遣いを上達させるコツ
言葉遣いは、一度覚えたらすぐ完璧になるものではありません。実践を重ねながら、少しずつ自分のものにしていくことが大切です。
6-1まずは意識して使ってみる
覚えた敬語やフレーズは、まず積極的に使ってみましょう。完璧でなくても問題ありません。意識して使うことで、口や頭が自然と慣れていきます。
例えば、普段の会話で「です・ます」を意識する、家族や友人との会話でも丁寧語を使ってみる、目上の人との会話を想定してロールプレイングをしてみるなど、小さなところから始めるのがおすすめです。
文章での練習も効果的です。メール文や日記などで敬語を使ってみると、言い回しの幅が広がります。
6-2周囲の人の丁寧な言葉遣いを参考にする
身近にいる「話し方が丁寧な人」を観察し、良い表現を取り入れてみましょう。教授、アルバイト先の先輩、ニュースキャスターなど、参考にできる相手はたくさんいます。
「この言い方は感じが良いな」と思ったらメモを取るのもおすすめです。引き出しを増やしていくことで、実際の場面でも自然に言葉が出やすくなります。
6-3間違いを指摘されたら素直に受け止める
もし言葉遣いを間違えてしまっても、過度に落ち込む必要はありません。むしろ、間違いを指摘してもらえるのは成長のチャンスです。
指摘されたときは、「ご指摘ありがとうございます。勉強になります」と受け止め、次に同じミスをしないよう意識しましょう。言葉遣いは、失敗と修正を繰り返しながら上達していくものです。
完璧を目指すのではなく、昨日より今日、今日より明日と少しずつ上達していく姿勢を大切にしましょう。
7まとめ
大学低学年から目上の人への言葉遣いを学ぶことは、大学生活だけでなく、その後の就職活動や社会人生活を豊かにする貴重な財産になります。
早い段階から意識することで、インターンシップや就職活動で好印象を与えやすくなり、アルバイトやゼミ、サークルでも円滑な人間関係を築きやすくなります。
敬語の基本である「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の違いを理解し、「了解です」「〜になります」「参考になりました」といった表現を適切に言い換えられるようになるだけでも、印象は大きく変わります。
さらに、クッション言葉の活用、相手への配慮、挨拶や感謝の習慣化を意識することで、言葉遣いそのものだけでなく、コミュニケーション全体の質も高まっていくでしょう。
言葉遣いは、相手への敬意や配慮を示す「心」の表れです。今日からできる小さな工夫を積み重ねて、自信を持って目上の人とコミュニケーションを取り、自分の可能性を広げていきましょう。
執筆:My CareerStudy編集部
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