フェルミ推定で差がつく!大学生が今すぐ身につけたい“考える力”とその活かし方

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公開日
2025/08/19

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フェルミ推定で差がつく!大学生が今すぐ身につけたい“考える力”とその活かし方

フェルミ推定とは、限られた情報と仮定をもとに、論理的な思考を駆使して現実的な数値を導き出す推論手法です。就職活動やビジネスの現場でも注目されるこのスキルは、単なる計算力ではなく、“考える力”そのものを鍛えるトレーニングでもあります。
この記事では、フェルミ推定の基本から応用、そしてキャリアへの活かし方までを、具体例とともにわかりやすく解説していきます。

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1.フェルミ推定とは?

フェルミ推定とは?

1-1 フェルミ推定の基本的な概要

フェルミ推定は、正確なデータが手元にないときでも、論理的な考え方と仮の前提を使って、おおよその数値を導き出す方法です。
一見すると突拍子もないような問い――たとえば「日本にある電柱の本数は?」や「人は1日に何歩くらい歩くのか?」といった質問に対して、すでにわかっている情報を細かく分けて考え、推論を重ねることで、現実的な見積もりを目指します。

1-2 限られた情報から導き出す論理的推論の魅力

フェルミ推定の一番の魅力は、はっきりした情報がなくても、考えることをあきらめずに、自分の知識や常識、そして論理的な思考を使って答えを導こうとする「考えるプロセス」にあります。

このプロセスでは、複雑な問題をシンプルなパーツに分けて、それぞれに納得できる仮の前提を置きながら、全体のイメージをつかんでいきます。こうした力は、情報が限られている場面でも冷静に判断するために役立ちます。

不確実なことが多い今の社会では、「少ない情報からベストな答えを導く力」は、仕事でも日常生活でも幅広く活かせる、とても汎用性の高いスキルだと言えるでしょう。

論理的思考法については、以下の講座と記事で紹介しています。合わせてご覧ください。

1-3 フェルミ推定が就活で重要視される理由

フェルミ推定は、就職活動において「知識」よりも「考える力」を見るための方法として、多くの企業で使われています。

企業が注目しているのは、正しい答えそのものではなく、答えにたどり着くまでの考え方や、仮説を立てる力、問題を解決する力、そして自分の考えをわかりやすく伝える力です。

特に、コンサルやIT、金融など、複雑な問題に向き合う仕事では、初めての状況でも冷静に考えられる「地頭の良さ」を測る手段として重宝されています。

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2.フェルミ推定が求められる場面

フェルミ推定が求められる場面

2-1 採用面接でのフェルミ推定の活用例

採用面接においてフェルミ推定は、学生の思考の柔軟性や論理的思考力を試すために用いられます。具体的な数値の正しさよりも、質問に対してどのようにアプローチし、どのような仮説を立て、どのような論理で数値を分解していくかという「思考の過程」が重視されます。

たとえば、「渋谷駅のスクランブル交差点を1日に通る人は何人?」という質問が出たとき、正確なデータがなくても、時間帯ごとの人の流れや、一度に渡れる人数などを想像して、答えを組み立てていく力が求められます。

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2-2 コンサルティング業界や金融業界でのケース面接

コンサルティング業界や金融業界では、フェルミ推定が「ケース面接」でよく使われます。これらの業界では、限られた情報の中で、最適な答えを考える力がとても重要だからです。

たとえば、「〇〇社の新しい事業の市場規模は?」や「日本の〇〇市場の年間売上は?」といった質問が出されることがあります。

ここで求められるのは、ただ数字を出すだけではなく、その数字の背景にある市場の仕組みや競合の状況なども考えながら、幅広い視点で答えを導く力です。

2-3 スタートアップ企業での問題解決力の評価

急成長中のスタートアップ企業では、フェルミ推定で身につく「問題を解決する力」が高く評価されています。スタートアップは、まだデータや仕組みが整っていない中で、次々と新しい課題に向き合い、すばやく判断する必要があります。

そのため、「はっきりした情報がなくても、仮説を立てて、論理的に考え、最適な方法を見つける力」はとても重要です。

たとえば、「この新サービスのターゲットになる人は何人くらい?」という問いに対して、正確なデータがなくても、自分なりに考えて市場の大きさを見積もる力が、事業の方向性を決めるうえで役立ちます。

3.フェルミ推定の基本ステップ

フェルミ推定の基本ステップ

① 問題定義:何を推定したいのかを明確にする

フェルミ推定を始める上で最も重要なのが、問いの「本質」を理解し、何を推定すべきかを明確にすることです。

漠然とした問いをそのまま考えるのではなく、例えば「コンビニの数」であれば、「日本全国の」なのか「特定の地域の」なのか、また「店舗数」なのか「従業員数」なのか、といった具体的な範囲や対象を定義します。
この段階で、推定の目的や制約条件をはっきりさせることで、その後の思考プロセスが無駄なく効率的に進められます。

② データ特定:必要な情報や仮定を洗い出す

次に、推定に必要な「既知の情報」や「仮定」を洗い出します。これは、正確なデータがなくても、一般的な知識や常識から推測できる数値、あるいは自分で設定する仮説のことです。

例えば、「日本の人口」「世帯数」「コンビニの店舗面積」「一店舗あたりの平均売上」など、関連しそうな情報をリストアップします。この際、厳密な数値でなくとも、大体の「桁」や「範囲」が分かれば十分です。
もし情報が全くない場合は、自分で合理的な仮定を設定してみるとよいでしょう。

③ 推定実施:数値を分解し、計算を組み立てる

洗い出した情報や仮定を基に、問題を小さな要素に分解し、計算式を組み立てていきます。

例えば、「日本全国のコンビニの数」を推定する場合、「日本の人口」を「コンビニ1店舗あたりのカバー人口」で割る、といった大枠の式を立てます。
さらに「コンビニ1店舗あたりのカバー人口」を、「都市部」と「地方」で分けたり、「交通量」や「競合店の数」といった要素で分解したりと、より細かく掘り下げて計算をしていきます。
この分解の仕方は一つではなく、多様なアプローチが考えられます。

この段階では、あまりにも荒すぎる概算にならないよう、ある程度の精度を意識することも重要です。

④ 結果評価:導き出した答えの妥当性を検証する

最後に、導き出した数値が「妥当か」を検証します。この段階は、単に計算結果を出すだけでなく、その数値が現実離れしていないか、論理的な飛躍がないかを確認する非常に重要なステップです。

例えば、「日本全国のコンビニの数」を推定して100万店舗という結果が出たとします。日本の人口や面積から考えて、これは明らかに多すぎる。なぜこのような結果になったのか、どの仮定が間違っていたのか、あるいは分解の仕方が不適切だったのか、と振り返り、必要であれば再計算や仮定の見直しを行います。

また、計算結果の妥当性を得られたとしても、あくまで推定であり完全に正しいデータであると捉えない姿勢も大切になります。

4.フェルミ推定の頻出テーマと例題

フェルミ推定の頻出テーマと例題

日本全国のコンビニの数は?

1 問題定義
日本全国のコンビニの店舗数を推定する。


2 データ特定・仮定
日本の人口:約1.25億人
日本の世帯数:約5000万世帯
1世帯あたりのコンビニ利用頻度(週にX回、1回あたりY円)
コンビニ1店舗あたりの平均的な商圏人口(例:1000〜3000人)
コンビニ1店舗あたりの平均売上(例:月間500万円)
コンビニ業界全体の年間売上高


3 推定実施
アプローチ1(人口ベース):日本の人口1.25億人 ÷ 1店舗あたりのカバー人口2500人 = 5万店舗。
アプローチ2(世帯ベース):日本の世帯数5000万世帯 ÷ 1店舗あたりのカバー世帯数1000世帯 = 5万店舗。
アプローチ3(売上ベース):コンビニ業界全体の年間売上高(例:10兆円) ÷ 1店舗あたりの年間売上高(例:6000万円) = 約16万店舗(この場合は仮定を見直す必要がある)。


4 結果評価
現在の日本のコンビニ店舗数は約5.5万店舗と言われています。上記のアプローチ1, 2は比較的近い数値が出ました。アプローチ3で大きく外れた場合、売上高の仮定や業界全体の売上高の調べ方が適切だったかを見直します。

大学の食堂で1日に出るご飯の量は?

1 問題定義
特定の大学の食堂で1日に提供されるご飯の量を推定する(グラム単位、または合単位)。


2 データ特定・仮定
大学の全学生数:1万人
食堂を利用する学生の割合:30%
1日の利用回数(昼食のみ、夕食も含むか):昼食のみ
1食あたりの平均ご飯量:200g


3 推定実施
1日の食堂利用者数:1万人 × 30% = 3000人
1日に必要なご飯の総量:3000人 × 200g/人 = 60万g = 600kg


4 結果評価
600kgという数値が、食堂の規模や供給能力、米の消費量を考えると妥当か検証します。食堂の規模が小さければ利用者の割合や1食あたりの量を再考する、など。

1年間に大学生が使う文房具の本数は?

1 問題定義
日本全国の大学生が1年間に使うボールペンの本数を推定する。


2 データ特定・仮定
日本の大学生の総数:約290万人(文部科学省のデータより)
1人あたりの年間ボールペン消費量:
授業のノート取り、課題、レポート作成頻度
筆記量(毎日使うか、週に数回か)
1本のボールペンで書ける文字数(インクの量)
紛失や故障による買い替え頻度
→ここでは「1人あたり年間5本」と仮定。


3 推定実施
約290万人(大学生の総数) × 5本/人(1人あたりの年間消費量) = 1450万本


4 結果評価
1450万本という数字が、文房具市場全体から見て妥当か、また大学生以外の層も含めるとどうなるかなどを考察します。仮定の「年間5本」が少なすぎる、あるいは多すぎる可能性はないか、といった議論も重要です。

5.フェルミ推定をキャリアに活かす方法

フェルミ推定をキャリアに活かす方法

5-1 社会人になってからも役立つ“考える力”の土台にする

フェルミ推定で養われる論理的思考力や問題解決能力は、社会人になってからもあらゆるビジネスシーンで役立つ普遍的なスキルです。
新規事業の立ち上げ、既存事業の改善、マーケティング戦略の策定、予算策定、そして日々の業務における課題解決など、不確実な情報の中で最適な意思決定を求められる場面は枚挙にいとまがありません。

フェルミ推定の思考プロセスは、そうした場面で「何から考え始めれば良いか」「どのような情報を集めるべきか」「どうすれば論理的に結論を導き出せるか」という指針を与え、ビジネスパーソンとしての基礎力を高める土台となります。

5-2 インターンや就職活動での差別化ポイントにする

フェルミ推定で培った思考力は、インターンシップや就職活動において、他の学生との差別化を図る強力な武器となります。面接で難しい質問に直面した際、すぐに諦めるのではなく、論理的なアプローチで考えようとする姿勢そのものが評価されます。

また、グループディスカッションやケーススタディでも、複雑な問題を構造化し、チームメンバーと協力しながら仮説検証を進める能力は、リーダーシップや問題解決能力を示す絶好の機会となります。単に知識があるだけでなく、「考える力」をアピールすることで、採用担当者に強い印象を残すことができるでしょう。

グループディスカッションについては下記の講座と記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

5-3 キャリアの選択肢を広げる“論理的思考”の武器化

フェルミ推定を通して論理的思考力を磨くことは、将来のキャリア選択の幅を大きく広げることにつながります。

特定の専門知識だけでなく、普遍的な思考力を身につけることで、未経験の業界や職種にも臆することなく挑戦できる自信が生まれます。どのような状況でも「自分で考えて、答えを導き出す」という能力は、変化の激しい現代社会において、自身を「武器」として通用させるための強力なツールとなります。

この「考える力」を武器に、自分らしいキャリアを主体的に築いていくことができるでしょう。

6.まとめ

6-1 フェルミ推定は大学生にこそ必要な“思考の筋トレ”

フェルミ推定は、単なるクイズや計算問題ではありません。限られた情報の中で、いかに論理的に思考し、問題を分解し、仮説を立て、妥当な結論を導き出すかという、まさに「思考の筋トレ」です。

大学生という、これから社会に出ていく皆さんが、未知の課題に立ち向かうための基礎体力を養う上で、これほど効果的なトレーニングはありません。

6-2 就活・キャリア形成に役立つスキルとして磨こう

フェルミ推定で培われる論理的思考力、問題解決能力、そして仮説構築能力は、就職活動における面接やグループディスカッションで評価されるだけでなく、社会人になってからのキャリア形成において、どのような業界・職種に進むにしても必ず役立つ汎用性の高いスキルです。
今のうちから意識的に練習し、自分の強みとして磨き上げていくことが、将来の成功への鍵となります。

6-3 日常の疑問から始めるフェルミ推定の習慣化

難しく考える必要はありません。まずは「なぜ?」や「どのくらい?」といった日常の小さな疑問に目を向け、自分なりの仮説を立て、論理的に考えてみることから始めてみましょう。

身近な問いから思考を巡らせる習慣が、フェルミ推定の力を着実に高めてくれます。

執筆:My CareerStudy編集部

執筆:My CareerStudy編集部

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