キャリアデザインとは?
重視される背景と学生自ら考えるべき理由
- 公開日
- 2023/10/11
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企業や働く人を取り巻く環境の変化が激しい近年、学生にとっても、早いうちから自分の将来のキャリアに向き合う重要性が高まっています。
この記事では、自分の仕事の将来を描くキャリアデザインに注目し、その概要や注目される背景、キャリアデザインの設計方法をわかりやすく解説します。
1.キャリアデザインとは?
キャリアデザインとは、「将来自分がどうなりたいか、どのような働き方をしたいのかを明確にしてキャリアを考えること」を指します。
他の人に決めてもらうのではなく、自分自身が主体となってキャリアについて考えていくという意味で使われます。
1-1 キャリア形成・キャリアプラン・キャリアパスとの違い
キャリアデザインと似ている言葉に「キャリア形成」「キャリアプラン」「キャリアパス」があります。
まず、そもそも「キャリア」とは何なのでしょうか。厚生労働省ではキャリアを次のように定義しています。
2023年卒対象の調査ではインターンシップに実際に参加したことがある学生は82.6%、平均参加社数は5社と多くの学生がインターシップに参加していることがわかります。
「キャリア」とは、一般に「経歴」、「経験」、「発展」さらには、「関連した職務の連鎖」等と表現され、時間的持続性ないし継続性を持った概念
厚生労働省「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書要旨
つまり、キャリアとは一時的な状況や一つの事柄だけを指すものではなく、「個人の生き方」を幅広く示す概念です。「どのような会社に就職し、どのような仕事をしているか」「仕事でどういった成果を出し、どのような役職についているか」といった、仕事の一時的な状況だけをキャリアと呼ぶわけではありません。
それでは、キャリアという言葉の意味を踏まえて、それぞれの言葉の違いを見てみましょう。表にすると以下のようになります。
POINT
- キャリア形成
→理想とする持続性・継続性あるキャリアを目指して、個人が能力を作り上げていくこと。また、関連した職務経験の連鎖を通して職業能力を形成していく行動のこと。 - キャリアプラン
→仕事や働き方など自分の理想的な将来像を実現するために作成する具体的な行動計画。 - キャリアパス
→主に社内での昇進や組織内での目標を指す言葉のこと。
1-2 キャリアデザインが重視される背景
近年、企業や働き手を取り巻く環境は変化しています。例えば、インターネットなどの技術の発展によってグローバル化が急速に進んだことによって、国際的な企業間競争が激化しています。
実際、不確実性が高く将来の予測が困難な時代を意味する「VUCA(ブーカ)時代」ともいわれています。VUCA時代とは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった言葉のことです。
これらの変化のなかで企業が生き抜くためには、組織の力を高め、これまで以上の生産性を発揮しなくてはいけません。働き手には高いスキルや専門性が求められるほか、自発的に成長する力、社会の変化に対応できる柔軟性が求められるようになっています。
つまり、自発的にキャリアを切り開ける人材に高い価値が見出され、評価されるようになっています。
また、国内における終身雇用を前提とした年功序列制度の崩壊も背景として考えられます。
以前は新卒社員を採用したあと、何年もかけてさまざまな部署で経験を積ませ、会社のジェネラリストとして育てるスタイル(メンバーシップ雇用)が一般的でした。
しかし、このスタイルでは競争社会に対応できないため、従来のメンバーシップ雇用に特定の職種での勤務を前提とした「ジョブ型雇用」を加えたハイブリッドなスタイルを採用している企業も増えてきています。そのため、勤続年数の長さだけでなく、今の社会に対応できる人材の価値が高まっていることがわかります。
さらに、こうした変化の激しい社会で自らキャリアを切り開き、活躍し続けるためには「社会人基礎力」が求められます。社会人基礎力とは、経済産業省が提唱した「※1職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」です。なかでも、「主体性(物事に進んで取り組む力)」や「働きかけ力(他人に働きかけ巻き込む力)」が重要となります。
2.学生自身がキャリアデザインを構築する必要性
労働市場の変化にともなって、働き手の価値観も変化しています。キャリアは会社が示すのではなく、自ら設計し自発的に行動することで実現するものという意識が高まりました。つまり、自発的にキャリアデザインをおこなうことが一般的という価値観が生まれつつあるのです。
そして、個人がキャリアデザインを構築することの必要性は、社会人になってからだけの話ではありません。学生のうちからキャリアデザインを考えることで、早い段階から自分のすべきことがわかり、就職活動の際に自分に合った企業や仕事を選択しやすくなります。
現に、日本ではキャリア教育という言葉が誕生しており、社会に出る前の段階から積極的にキャリアを考える機会を設けることが重視されています。
実際、学校でもキャリア講義やガイダンスが実施されているところも増えてきたのではないでしょうか?「低学年だからまだ将来のことは考えなくてもいい」と考えている方もいるかもしれませんが、学生のうちからキャリアデザインを考えることで、自身の可能性を広げ、将来の選択肢を増やすことができます。
自分の人生を考えるきっかけとして、機会があれば参加してみるとよいでしょう。
3.キャリアデザインの設計方法
ここではキャリアデザインの設計方法をご紹介します。
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3-1 過去や現状を振り返る
まずは、自身がもっている資格やスキル、これまでの経験などを洗い出します。得意なことばかりではなく苦手なことも挙げてみましょう。自分では苦手だと感じていても、実は適性が認められるケースもあります。適性検査や診断ツールなどを利用して客観的に自分を見つめ直してみることも有効です。
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3-2 理想の生き方やなりたい姿を考える
次に、興味のあることや自分が得意なことを踏まえて将来やってみたい仕事をピックアップしましょう。具体的な仕事内容だけではなく、「こうなりたい」「こんなポジションを目指したい」などの希望でも構いません。
具体的な仕事内容が思い浮かばない場合は、理想的な暮らし方や人生の送り方、逆に「やりたくないこと」を想像してみることで具体化できるかもしれません。例えば、「通勤ストレスのない生活を送りたい」という理想があるならば、フレキシブルな働き方が実現できる職種や企業に目を向けるとよいでしょう。
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3-3 将来と現在のギャップを分析する
自身の現状と理想のキャリアを照らし合わせ、埋めるべきギャップや解決すべき課題を見つけましょう。理想やなりたい姿を思い描いたうえで現状と照らし合わせると、解決すべき課題が見えてきます。
例えば「結婚や子育てしても働きやすい、リモートワークが可能な仕事」に就きたいと考え、その一つとしてWebデザイナーを検討するとしましょう。
Webデザイナーを目指すのであれば、プログラミングやWebデザインなど専門性の高いスキルが要求されます。そのため、まずは基礎的なスキルの習得が解決すべき課題となります。
3-4 必要なキャリアを設定し、具体的なアクションに移していく
発見したギャップを解消するために必要な経験を段階的に設定し、ギャップや課題を解決するためにすべきことを、具体的な行動に移していきます。資格を取得するなど、できるだけ具体的な行動に落とし込みましょう。
例えば先ほどの例でいうと、Webデザイナーを目指すためにプログラミングやデザインスキルを習得するために本で勉強したり、スクールに通ったり、企業のインターンシップ・仕事体験で実践的に学んだりするなどの具体的な行動に落とし込みます。
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4.キャリアデザインを考えるうえで大切なことは?
キャリアデザインの設計に取り組むなか、疑問が生じたり、答えが出ず立ち止まったりすることもあるでしょう。キャリアデザインを考えるうえで、次のことを大切にしてみてください。
4-1 さまざまなキャリアの形を知ること
人生やキャリアについてわからないことが多い学生のうちは、身近な人から話を聞いたりメディアを活用したりして、さまざまなキャリアの形を知ることが大切です。次のような機会があれば積極的に参加してみることをおすすめします。
- インターンシップ・仕事体験
- 就職活動やキャリアに関するイベントやセミナー
- 大学のキャリアセンターでの面談
積極的にキャリアを考える機会に飛び込むことで、周りにどういう働き方をしている人がいるのかを知ることができ、自身の選択肢が増え、視野が広がります。
4-2 普段の活動や興味のあることに本気で取り組むこと
上記のような機会がなくても、今興味があることに本気で取り組むことは自分自身と向き合う時間となり、キャリアデザインを考えるうえでもプラスになります。学内の団体活動やサークル活動など、身の回りにある本気に取り組める機会を大事にしましょう。
物事に本気で取り組めば、成功することもあれば失敗することもあるでしょう。思うような結果が得られなかったとしても、本気で物事に取り組んだ経験はその後の人生の糧になります。
自分が何に興味を持ち、どのように取り組み、何を感じたのか、経験を振り返って考えることはキャリアデザインを考えることに通じますし、自身の価値観の発見にもつながります。
4-3 一度で完成させず柔軟に調整すること
時間が経ち価値観が変化することや、さまざまな経験を経て考え方が変化することもあります。場合によっては、それまでのキャリアデザインが自身に合わなくなる可能性も出てきます。
キャリアデザインをもとに進んでいくことは大事ですが、一度設定したことにとらわれすぎると、自分の可能性を狭めてしまいかねません。理想のキャリアを定期的に見直すなど、柔軟に取り組みましょう。
4-4 周囲からフィードバックや意見をもらうこと
自分の考えたキャリアデザインについて、周囲の人からフィードバックをもらうことも有効です。客観的な意見や自分にはなかった視点でのアドバイスが得られ、ブラッシュアップしやすくなります。フィードバックをもらう機会としては以下のようなケースがあるでしょう。
- 親や先輩、親しい大人など身近な人に見てもらう
- インターンシップ・仕事体験のプログラムなどを通して企業の人に見てもらう
- イベントやセミナー・講座などに参加する
注意したい点は、他人の意見に流されてしまい自分の方向性を見失ってしまう可能性があることです。フィードバックはあくまでヒントととらえ、最終的に判断するのは自分であると意識して取り組むことが大切です。
5.まとめ
キャリアデザインは、企業、働き手、そしてこれから社会人になる学生、あらゆる立場にとって重要なものです。
キャリアを考えることは自身の将来の選択肢を増やすことにつながります。自分らしい働き方を実現するためにも学生のうちからキャリアデザインの構築に取り組んでみてみましょう。
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執筆:My CareerStudy編集部
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