【推考】人の出入りが激しい企業の社員がよく言う台詞
Q 忘れられない一言を教えてください。どんなシーンで誰からの言葉ですか?
A 「早く覚えなくて良いから、一回で覚えろ!」
私はいわゆる「就職氷河期世代」(1993年頃から2004~2005年頃までの就職難の時期に、学校を卒業して就職活動を行った世代)なのですが、大学生時代はファッションが大好きで、他にやりたいこともなかったため、アパレルメーカーで販売職の仕事をしたいと思い、就職活動を行いました。しかし、今思えば、希望する業界と職種を絞りすぎたことに加え、活動のやり方そのものが非常に甘かったため、正規雇用として就職することは叶いませんでした。また、私が活動していた時期が、「就職超氷河期」と呼ばれることが多い、就職氷河期の中でも最も厳しい時期だったようで、私のやり方ではどの企業からも採用されるはずがなかったと思っています。そこで、当時私がよく通っていたショップの店員さんから聞いた話によると、「アパレル業界で最初から正社員として入社するのはかなり狭き門で、アルバイトから入り成果を上げて正社員になる人のほうが多い」とのことでした。それならば、まずアルバイトで入って成果を上げようと考え、某アパレルメーカーにアルバイト社員として入社しました。その時、私が配属されたブランドのショップの店長から仕事を教わる前に言われた言葉です。
Q その言葉が印象に残っている理由を教えてください。
A 「一回で覚える」ことなどできなかったからです
「早く覚えなくて良いから、一回で覚えろ?どういう意味?なんか矛盾してないか?」と思いつつも、私なりに必死に頑張ってみたのですが、緊張が先走ってしまい、商品を検品する、報告書を書くといった作業で何度も間違えてしまいました。また、当時私はコミュニケーション能力が低かったようで、肝心の洋服の販売でもお客さんに物を売ることがほとんどできませんでした。ちなみに、ここで言う「コミュニケーション能力」とは、流暢に話すことや自分の意見を伝えることではありません。会話の相手がおり、相手との会話のキャッチボールがきちんとできているか、自分だけが一方的に話していないかどうかという意味です。ですので、最初私はお客さまに対して自社商品の良さを一方的に伝えるだけで、お客さまの要望や気になっている点を聞き出したり、日常会話で和ませたりすることが全くできませんでした。この点、将来特に販売職や営業職を志す学生の皆さんはご注意ください。当時の私のような学生さんは、今でもかなりいらっしゃると思います。そのため、店長から「お前は人間としての能力が低い」や「お前には向上心がない」と言われることもあり、毎日怒鳴られました。しかし、7~8ヶ月ほど続けるうちに、この状況は次第に変わっていきました。私は少しずつ販売で結果を出せるようになり、お客さまに商品を買ってもらえるようになっていったのです。今思えば、接客を何度も繰り返して失敗しながら慣れていった、つまり場数を踏んだことが、結果を出せた最大の要因だったようです。ですので、私は「一回で覚える」ことなど到底できませんでしたし、今でもできないと思います。そもそも、仕事を「一回で覚える」ことができる人など、世の中にどれくらいいるのでしょうか。できる人が少ないからこそ、「ごく一部の『一回で覚える』ことができる人」と「その他大勢の『一回で覚える』ことができない人=フツーの人」に分かれ、それによって様々な格差が生まれるのではないでしょうか。
Q その言葉から得たものは何ですか?
A 社員が「一回で覚えろ」「一回しか言わない」と言う企業は要注意
結局、私はそのアパレルメーカーを1年くらいで退職してしまいました。結果が出せるようになる前に、退職する旨を会社に伝えていたからです。私の早合点で、本当に勿体なかったと今でも思っています。しかし、その企業内では、私のように長続きしなかった人は全く珍しくなかったようで、私に「一回で覚えろ」と言った店長は他店舗へ異動となり、その後、私よりも先に退職しました。確か社歴は5~6年だったと思います。また、私よりも後に入社してきて、先に退職していったアルバイト社員が、私が知る限りでも3~4人はいました。そう言えば、東京都内にある本社事務所が入っていたビルでは、入り口に「株式会社○○○○インターナショナル面接会場」の看板が常設されていました。ですから、昭和生まれの人たちが皆、仕事を「一回で覚える」ことで厳しい競争を勝ち抜いてきたわけではありません。
私は令和の懇切丁寧に教えるやり方が軟弱で、昭和・平成の昔気質のやり方が正しかったとは思いません。むしろ、現代のやり方のほうが人材流出を防ぐ効率の良いやり方だと考えます。そして、私が販売していたブランドのショップは、現在でも存在しています。おそらく、長く勤めている人たちが企業を支えてきたのではなく、新たに入ってくる若い人たちを取っ替え引っ替えしながら存続させてきたのだと思います。
ですから、社員がよく後輩や部下に「一回で覚えろ」とか「一回しか言わない」、あるいは「見て覚えろ」と言う企業は、人の出入りが激しい要注意な企業であると推考します。現代はインターネットが普及していて、口コミ投稿などで割と容易に企業の評判を知ることができます。学生の皆さんの企業選びの参考にしていただければ幸いです。
私は令和の懇切丁寧に教えるやり方が軟弱で、昭和・平成の昔気質のやり方が正しかったとは思いません。むしろ、現代のやり方のほうが人材流出を防ぐ効率の良いやり方だと考えます。そして、私が販売していたブランドのショップは、現在でも存在しています。おそらく、長く勤めている人たちが企業を支えてきたのではなく、新たに入ってくる若い人たちを取っ替え引っ替えしながら存続させてきたのだと思います。
ですから、社員がよく後輩や部下に「一回で覚えろ」とか「一回しか言わない」、あるいは「見て覚えろ」と言う企業は、人の出入りが激しい要注意な企業であると推考します。現代はインターネットが普及していて、口コミ投稿などで割と容易に企業の評判を知ることができます。学生の皆さんの企業選びの参考にしていただければ幸いです。
所属企業
サイト工業株式会社
1967(昭和42)年の創業から、当社は地元密着型の企業として地域の発展と共に歩んでまいりました。現在は本社である仙台の他に福島にも支店を構え、躯体専門工事をメインに建築・戸建住宅建設、土木工事では都市インフラの整備にも長年携わり、地域の快適なまちづくりを支えています。
建設に携わるということは、自分の仕事が作品として地図に残るということ。リアリティあるその達成感は、この仕事ならではの醍醐味です。